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Zed 1.11.3の更新点:Gitレビュー強化と更新判断

Zed 1.11.3で追加されたStaged/Unstaged Changes、Git Graph改善、Project Symbolsプレビューを、1.10系との差分と導入判断から整理します。

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Zed 1.11.3は、Gitの変更確認をエディター内で完結させやすくする更新です。Staged ChangesとUnstaged Changesを専用のマルチバッファで開き、hunk単位でステージ、解除、復元できるようになりました。Git Graphの列設定とコミット本文表示、Project Symbolsのプレビューも加わっています。Git操作をZed内へ寄せたい人には更新価値がありますが、Gitクライアントを別に使う人や大規模リポジトリでの性能を重視する人は、実環境で確認してから切り替える方が安全です。

この記事はZed公式のStableリリース情報を静的に確認して作成しています。筆者はmacOS、Windows、Linuxのいずれでも実機検証していません。

更新概要

Zed 1.11.3は2026年7月15日にStable版として公開されました。公式の要約では、専用のStaged Changes/Unstaged Changesマルチバッファ、Git Graphの表示改善、Project Symbols pickerのプレビューが中心に挙げられています。

直前のStableとして掲載されている1.10.3と比べると、今回の読者影響が大きい変更は次の4点です。

  • ステージ済みと未ステージの差分を専用ビューでまとめて確認できる
  • hunk単位でstage、unstage、restoreを操作できる
  • Git Graphの列を表示・非表示にでき、コミット本文をMarkdownで確認できる
  • Project Symbols pickerにプレビュー領域が加わる

できるようになったこと

Staged ChangesとUnstaged Changesを専用ビューで開く

新しいgit: view staged changesgit: view unstaged changesアクションにより、ステージ済み、未ステージの変更をそれぞれ専用のマルチバッファで開けます。

従来もGit Panelやdiff表示から変更を確認できましたが、複数ファイルの差分をレビュー用途の画面へまとめる導線が明確になりました。コミット前に変更を分割したい場合や、余計な変更が混ざっていないか確認したい場合に使いやすい構成です。

専用ビューではhunk単位で次の操作ができます。

  • 未ステージの変更をstageする
  • ステージ済みの変更をunstageする
  • 不要な変更をrestoreする
  • 複数ファイルの差分を連続して読む

Git Graphの情報量を調整できる

Git Graphでは、テーブルヘッダーを右クリックして列の表示・非表示を切り替えられるようになりました。必要な情報だけ残せるため、画面幅が限られる環境でも履歴を追いやすくなります。

コミット詳細では、短い件名だけでなく完全なコミットメッセージをMarkdownとして表示します。Issue番号、変更理由、箇条書きを含むコミット本文を使うチームでは、履歴画面から意図を確認しやすくなります。

Project Symbolsから定義を開く前に確認できる

Project Symbols pickerにプレビューペインが追加されました。候補名だけでは判断しにくい同名関数や同名クラスがある場合に、移動前に中身を確認できます。

大規模プロジェクトや、似た名前の型・関数が多いコードベースでは、誤った定義へ移動して戻る操作を減らせる可能性があります。

Agentのターミナルスレッドを検索できる

Agentが実行したターミナルスレッド内で、macOSはcmd-f、WindowsとLinuxはctrl-fによる検索が追加されました。長いビルドログやテスト結果からエラー箇所を探す際に使えます。

改善された点

Git関連プロセスとパネル処理の削減

Git Panelは、ファイルが変更されるたびにリポジトリへのアクセス可否を再確認しないよう改善されています。また、ディスク上のリポジトリ状態が変わった際に、開いているバッファのdiff計算で起動するGitプロセス数も削減されました。

公式リリースノートは具体的な速度やメモリ削減率を示していません。そのため、「大規模リポジトリで高速になった」と断定はできません。頻繁な変更検知時の無駄な処理を減らす実装変更として捉えるのが妥当です。

検索と差分表示の実用性

未コミット変更ビューにはdiff statが追加され、ファイル単位の追加・削除量を把握しやすくなりました。diffマルチバッファのヘッダーにも、ファイルごとの追加・削除行数が表示されます。

安定性の修正

1.11.3には、Text Finderのクラッシュと高メモリ使用、Git Panelから大量の未追跡ファイルを削除した際のクラッシュ、multibufferで補完確定時に発生し得るpanicなどの修正が含まれます。

削除・制限について

1.11.3の公式情報では、機能削除、非推奨化、破壊的変更、サポート終了は確認できませんでした。そのため、「できなくなったこと」として扱う項目はありません。

一方、導入前に確認すべき制限はあります。

  • Staged/Unstagedビューの操作性は実機未検証
  • 大規模リポジトリにおけるGit Graphの描画性能は公表されていない
  • hunk単位のrestoreは変更を失う操作であり、実行前の確認が必要
  • Git Graphの列設定や新しい表示が、外部Gitクライアントの全機能を代替するわけではない
  • Project Symbolsの候補精度は、言語サーバーやプロジェクト構成の影響を受ける

StableとPreviewの区別

この記事で扱う1.11.3は、Zed公式のStable Releasesに掲載されたStable版です。Preview Releasesとは分けて確認しています。

更新した方がよい人

次に当てはまる場合は、1.11.3を試す価値があります。

  • Zed内でコミット前レビューを完結させたい
  • 複数ファイルのhunkを見ながらstage/unstageしたい
  • Git Graphを日常的に使い、列やコミット本文を確認したい
  • Project Symbolsで同名候補の判別に時間がかかっている
  • Agentの長いターミナル出力から特定の文字列を探したい
  • Text FinderやGit Panel関連のクラッシュに遭遇していた

更新を待ってもよい人

次の条件では、作業中の環境をすぐ更新せず、検証期間を置く選択も合理的です。

  • 業務用リポジトリで部分stage/restoreの挙動を慎重に確認したい
  • 巨大なモノレポでGit Graphの性能を重視している
  • 固定バージョンでチーム環境を統一している
  • Git関連機能をほとんど使わず、今回の修正対象にも該当しない
  • 拡張機能や言語サーバーとの相性を事前に確認したい

特にrestore操作は変更内容へ直接影響するため、重要な作業ブランチへ導入する前に、破棄してよいテスト変更で操作を確認した方が安全です。

1.10系との比較

項目1.10.3まで1.11.3
ステージ済み差分Git Panelや個別diffで確認専用Staged Changesマルチバッファ
未ステージ差分Git Panelや個別diffで確認専用Unstaged Changesマルチバッファ
hunk操作既存Git UIやターミナルを利用専用ビューからstage/unstage/restore
Git Graph列固定的な表示ヘッダーから列を表示・非表示
コミット本文表示範囲が限定的完全なメッセージをMarkdown表示
Project Symbols候補一覧から移動プレビューを確認してから移動
Agent terminalスレッド内検索なしcmd-fctrl-fで検索
Git処理状態変化時の再確認が多いアクセス確認とGitプロセス数を削減

導入判断

今回の更新は、派手な新エディター機能よりも、コミット前レビューと履歴確認の手間を減らす実務寄りの内容です。Zedをコード編集だけでなくGit作業にも使っている人ほど恩恵を確認しやすいでしょう。

一方、公式情報だけでは、大規模リポジトリでの性能差や、各OSにおける操作感までは判断できません。業務利用では、テスト用ブランチでStaged/Unstagedビュー、restore、Git Graphの描画、Project Symbolsのプレビューを確認した上で展開するのが安全です。

参照情報と確認日