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VS Code 1.129の更新点:Agent Host、チャット内コマンド、企業利用時の注意点

Visual Studio Code 1.129で追加されたAgent Host、チャットからのコマンド実行、GitHub Enterprise対応を、1.128との違い、実験機能、導入判断とともに整理します。

開発ツール Visual Studio CodeVS CodeGitHub CopilotAIエージェント開発環境

Visual Studio Code 1.129は、AIエージェントの処理を専用プロセスへ分離する「Agent Host」を中心に、複数ウィンドウから同じセッションを扱う仕組み、チャットからのコマンド実行、GitHub Enterprise環境でのCopilot認証を追加しました。一方、Agent Hostは段階的展開中で、組織管理設定が必要な機能も多く、全利用者が更新直後から同じ体験を得られるわけではありません。通常の編集用途では急いで移行する必要性は低く、AIエージェントを業務利用するチームほど検証価値が高い更新です。

この記事は公式リリースノートをもとに整理しています。筆者はVS Code 1.129の各機能を実機では検証していません。

今回の更新概要

VS Code 1.129は2026年7月15日に公開され、1.129.1では追加の問題修正も行われています。公式が挙げる主な変更は、Agent Host、Agentsウィンドウの新しいエディターパネル、!を使ったコマンド実行、Modern UIのプレビューです。

このうち、通常のStable機能として特に確認しやすい変更は次の3点です。

  • Agent Hostによるエージェントセッションの専用プロセス化
  • Agent Hostセッション内での!プレフィックスによるターミナルコマンド実行
  • GitHub Enterpriseを利用する組織でのCopilot認証対応

一方、新しいエディターパネル、プロンプトファイルからSkillsへの移行支援、Modern UIは実験段階です。Stable版のリリースノートに掲載されていますが、設定を有効にして試すプレビュー機能であり、標準機能として導入済みと扱うべきではありません。

できるようになったこと

エージェントセッションを専用プロセスで動かせる

Agent Hostは、Copilot、Claude、Codexなどのエージェントハーネスを専用プロセスで実行するための新しい基盤です。セッションがエディター本体から分離されるため、同じセッションへ複数のVS Codeウィンドウから接続し、表示できる設計になりました。

1.128でもAgentsウィンドウや複数チャットの仕組みは提供されていましたが、1.129ではセッション管理の土台そのものが明確になっています。エージェント処理を長時間走らせながら、別ウィンドウでコードレビューや他の作業を進める運用に向いています。

ただし、Agent Hostは段階的に展開されています。利用にはchat.agentHost.enabledの有効化が必要で、この設定は組織側で管理される場合があります。個人環境で設定項目が見つかっても、会社管理端末では利用者自身が変更できない可能性があります。

別のセッションをエージェントから管理できる

Agent Host上のエージェントは、他のセッションやチャットを一覧表示し、状態やワークスペース、変更内容を確認できるようになりました。また、新しいセッションやチャットを作成し、サブタスクを渡す仕組みも追加されています。

これにより、ひとつの長い会話へ調査、実装、テスト、レビューを詰め込む代わりに、役割ごとにセッションを分けやすくなります。送信先のセッションを開く導線も用意されています。

無制限に処理を拡散できるわけではありません。他セッションへのメッセージ送信には確認が入り、短時間に大量送信する動作にも上限があります。自動化の自由度を上げながら、意図しない並列実行を抑える設計です。

チャットから!でコマンドを実行できる

Agent Hostセッションでは、チャット入力の先頭に!を付けると、その内容をターミナルコマンドとして実行できます。

たとえば、ビルド、テスト、Gitの状態確認など、会話の途中で頻繁に行う操作をチャットから離れず実行できます。コマンドの結果を見ながら、続けてエージェントへ修正を依頼する流れを作りやすくなります。

この機能はAgent Hostセッション向けです。従来のローカルエージェント環境や、Agent Hostを無効にした状態で同じ操作が使えるとは限りません。また、チャット欄から実行できることは、安全性が自動的に保証されることを意味しません。削除、上書き、外部送信を伴うコマンドは、通常のターミナル操作と同じ基準で確認する必要があります。

GitHub Enterprise環境でもCopilotへ認証できる

1.129では、GitHub Enterprise経由でCopilotを提供している組織でも、Agent Hostから認証できるようになりました。

従来のAgent Host認証はgithub.comを前提としていたため、Enterprise環境のOAuthやCopilotトークン取得を完了できないケースがありました。今回の更新では、利用するGitHub Enterpriseインスタンスを選択し、そのホストに対して認証処理を進められます。

対象はAgent Host上のCopilotおよびClaudeエージェントです。社内SEや開発基盤担当者にとっては、個人利用よりも企業導入時の制約解消として価値があります。

従来から改善されたこと

1.128では、ClaudeのAgent Hostセッションで複数チャットをまとめる機能、ワークスペースを選ばず始めるクイックチャット、Copilot Visionの一般提供、統合ブラウザーの表示位置、OSレベルのキーボードショートカットなどが追加されました。

1.129は、これらの画面上の機能をさらに増やすだけでなく、セッションを専用プロセスで管理し、複数のエージェントやウィンドウを接続する基盤へ踏み込んでいます。

比較すると、1.128は「Agentsウィンドウで何ができるか」の拡張が中心で、1.129は「エージェントセッションをどう動かし、どう連携させるか」の変更が中心です。

また、Agentsウィンドウの新規セッション作成では、前回選んだエージェントモードや承認設定を記憶するようになりました。ワークツリー分離もドロップダウンではなくチェックボックスで選べるため、毎回の設定操作が減っています。

できなくなったこと・注意点

公式リリースノートで明記された標準機能の削除や、一般利用者向けの大きなサポート終了は確認できませんでした。

ただし、カスタムエディターの扱いには標準動作の変更があります。1.129ではカスタムエディターがdiffおよびmergeエディターの自動選択対象から標準で外れるようになりました。通常ファイルはカスタムエディターで開きつつ、差分やマージは組み込みテキストエディターで開く場合があります。

従来、特定形式のdiffやmergeが自動でカスタムエディターに開いていた環境では、表示方法が変わる可能性があります。必要に応じて「Reopen Editor With」やworkbench.diffEditorAssociationsで関連付けを調整します。

Agent Host関連では、次の制限を確認しておく必要があります。

  • 段階的展開のため、すべての環境へ同時提供されるとは限らない
  • 組織管理設定により、利用者側で有効化できない場合がある
  • 一部の新機能はAgent Host上でのみ利用できる
  • エージェントハーネスごとに対応機能が異なる
  • Stable版に含まれていても、実験設定が必要な項目がある

Preview機能との区別

Agentsウィンドウの新しいエディターパネル

エージェントが生成したファイルや差分を、チャット横のドッキングされたエディターで確認するレイアウトです。インライン/横並びdiffの切り替え、全ファイルの展開・折りたたみ、セッション切り替え後の表示状態復元などが含まれます。

これはExperimentalで、sessions.layout.singlePaneDetailPanelを有効にし、ウィンドウを再読み込みする必要があります。

プロンプトファイルからSkillsへの移行

*.prompt.mdをSkillsへ移行する支援画面もExperimentalです。ローカルエージェント以外のハーネスとの互換性を高める目的ですが、自動的に全プロンプトが置き換わる機能ではありません。

Modern UI

workbench.experimental.modernUIで有効にする新しい外観もExperimentalです。見た目を確認するためのプレビューであり、組織の標準UIとして即時採用する段階とは言いにくい状態です。

更新すべき人・待つべき人

更新して検証する価値が高い人

  • Copilot、Claude、CodexをVS Code内で長時間動かしている
  • 複数のエージェントセッションを並行管理したい
  • GitHub Enterprise環境でCopilotを利用している
  • ワークツリーを使い、エージェントの変更を分離してレビューしている
  • エージェント機能の社内標準化や制御を担当している

急いで移行しなくてもよい人

  • VS Codeを主に通常の編集、デバッグ、Git操作へ使っている
  • AIエージェント機能を無効化している
  • 実験機能を業務端末へ入れたくない
  • 組織側でAgent Hostが許可されていない
  • 拡張機能との互換性を検証してから更新したい

通常の編集機能を中心に使う場合、1.129の価値は限定的です。反対に、AIエージェントを業務フローへ組み込むチームでは、Agent Hostの権限、ログ、承認、ワークツリー運用を確認するための検証対象になります。

前バージョンとの比較表

観点VS Code 1.128VS Code 1.129
公開日2026年7月8日2026年7月15日
エージェント基盤Agentsウィンドウと複数チャットを拡張Agent Hostを中心に専用プロセス化
複数作業Claudeセッション内の複数チャット他セッションの列挙・作成・観察・指示
チャット操作画像・PDF添付が一般提供!でターミナルコマンド実行
企業利用既存の組織管理設定に依存GitHub EnterpriseでAgent Host認証に対応
UI統合ブラウザー配置などを改善新エディターパネルとModern UIはExperimental
主な注意点Agent Host依存機能やPreview機能が混在段階展開、組織設定、ハーネス差、実験機能が混在

導入判断

個人利用では、Agent Hostが利用可能になっており、複数セッションやチャット内コマンドを実際に使う予定があるなら更新候補です。通常編集が中心なら、自動更新の範囲で十分です。

企業利用では、更新そのものよりも、Agent Hostを許可するか、どのハーネスを使うか、コマンド実行や他セッション操作をどの承認ルールで扱うかを先に決める必要があります。GitHub Enterprise対応は導入障壁を下げますが、社内ルールや監査要件まで自動的に解決する機能ではありません。

参照情報と確認日

確認日:2026年7月21日

公式リリースノート内でExperimentalと記載された機能は、Stable版へ掲載されていても実験機能として区別しました。価格情報は今回の更新記事の対象外であり、確認していません。